本講演会では下記のテーマセッションを企画致します。
【1】 実践的な制御理論を目指して
【2】 ユビキタス時代のFA技術における理論と実践
【3】 意思決定支援・ナレッジマネジメントのための情報システムとサービス
【4】 創発システムとインタラクション設計
【5】 ネットワーク環境の下での制御:理論から応用まで
【6】 意思決定と最適化


【1】 実践的な制御理論を目指して
オーガナイザ:東 俊一(京都大学),小木曽 公尚(奈良先端科学技術大学院大学)
制御理論の研究においては,しばしば,数学的な美しさに興味が注がれ,実用とはかけ離れた理論が提案されることがある.このような「理論と現実の乖離」の問題は,システムがより複雑化されるにつれて,今後ますます増大していくものと予想される.本テーマセッションでは,このような状況を鑑み,現実問題への適用を意識した制御理論研究の芽を結集し,「実践的な制御理論とは何か?」について議論する.
1. ロバスト制御,モデル予測制御,アンチワインドアップ制御,リファレンスガバナなどの実践的制御器構成論
2. 現実の複雑システム(非線形系,分布定数系,むだ時間系,確率系など)への適用を意識した制御
3. CAD開発や実験検証など,実用化へ向けた取り組み


【2】 ユビキタス時代のFA技術における理論と実践
オーガナイザ:荒井 栄司(大阪大学),荒川雅裕(関西大学),西 竜志(大阪大学)
(企画:ユビキタス時代のフレキシブル・オートメーション研究分科会)
ユビキタス時代の「ものづくり」においては,生産システム自体のライフサイクルまで考慮して,環境変化に対応した柔軟な生産システム/FA技術が議論されるようになりました.その実現と取組みについては,知的メカトロニクス/複合工作機械,自律ロボット,3D-CAD/CAMや画像処理,といった個々の要素技術と,製品企画・設計から,受注・製造,流通ロジスティクスを含めたモノや情報の流れを管理するRFID応用,トータルな最適化を実現するための自律分散システムやスケジューリングなどのシステム化技術,トレーサビリティ・セキュリティ向上のための情報技術が重要となります.さらに大きな視点からは,グローバル生産を実現するための経営組織や経済活動を活性化するためのシステム工学アプローチなども進められています.本テーマセッションでは,以上のようなユビキタス時代における生産システム/FA技術に関わるさまざまな研究開発の成果を含む講演発表を募集します.皆様の積極的なご参加と研究発表をお願いいたします.
1. メカトロニクス(ACモータサーボ機構,マイクロ駆動装置,DCモータおよびDC給電,モーションコントロール,DSP応用技術,新アクチュエータ・センサ,GPS・ジャイロ応用,赤外線応用,飛行ロボット,携帯電話用LSIの他分野への活用,ロボット加工システム,インターネット・ロボット,移動ロボット,画像処理)
2. 製品設計(3D-CAD,ソフトウェアベースド製品,デジタル家電,コンカレント・エンジニアリング,CAD/CAM,CIM,グループウェア,プロダクト・ライフ・サイクル・マネジメント,インバース・マニュファクチャリング,グリッド・コンピューティング)
3. 工場設計・運用(3Dシミュレータ,搬送システム,物流システム,AS/RS,RFID,E-カンバン,スケジューリング,生産計画,APS,生産設計,サステイナビリティ,ラインバランシング,セル生産,オンライン/リアルタイムシステム)
4. グローバル生産(SCM,ネットワーク利用技術,CALS,国際高速配送システム,危機管理,グローバル統廃合方式,電子取引)
5. 経営/経済との協調(ロジスティクス,企業統合指標)
6. 理論・方法論(最適化,メタ戦略,ヒューリスティクス,ファジィ,シミュレーション,多変量解析,強化学習,自律分散,離散事象)


【3】 意思決定支援・ナレッジマネジメントのための情報システムとサービス
オーガナイザ:本多克宏,青木真吾(大阪府立大学)
データ蓄積技術向上やブログ・SNSの普及に応じ,トランザクションデータや人間の知を効率よく活用するための意思決定支援やナレッジマネジメントに注目が集まり,これを用いた新しいビジネスモデルやサービス技術が生まれております.このようなモデルやサービスを構築するためには,
(1)人の持つ判断や決定に関する知識を管理するためのシステム構築・解析,
(2)データから必要な情報を抽出する数学的アプローチの開発・検証,
(3)ユーザインターフェースを含めた利用者の要求を満たす情報共有・伝承技術の適用・発達,
など個々の研究領域技術の発達と,これらを融合するアイデアを創出することが必要です.そこで,本テーマセッションでは,複合領域・学際領域における新しい研究テーマを見つけることを目的とし,以下のように幅広く募集いたします.
1.システム構築・解析:ナレッジマネジメント,シミュレーション,アンケート解析、未来予測
2.数学的アプローチ:AHP,ANP,ファジィ,人工知能,意思決定支援手法
3.ユーザインターフェース:eラーニング,SNS,ブログ、情報共有、ワークフロー、適用事例


【4】 創発システムとインタラクション設計
オーガナイザ:飯間 等(京都工芸繊維大学),片田 喜章(摂南大学)
動的に変化する環境の下での自律的な秩序形成・機能発現のための進化・適応能力を有するシステムは「創発システム」と呼ばれています.本テーマセッションでは,創発システムの基礎理論・要素技術から適用事例まで,幅広い研究発表を募集します.また,ロボットの知覚・行動・身体性の設計,マルチエージェント・自律分散システムの解析・設計,人間を含む異種の複数エージェントによるコラボレーション設計,経済活動の仮想社会シミュレーションなどの分野を対象に,環境や他者との双方向的相互作用と要素間のダイナミックな協力現象などにみられるインタラクションの諸相とその設計についても議論したいと思います.奮ってご応募いただけますようお願い申し上げます.
1. 基礎・数理(学習,適応,進化,発達,協調,認識,自己組織化,記号接地,身体性,複雑系,移動知,カオス,ゲーム,神経振動子,セルオートマトン など)
2. 計算モデル(進化計算,群知能,強化学習,模倣学習,人工生命,マルチエージェント,免疫システム,DNAコンピューティング,エージェントベースモデリング など)
3. 設計原理(ヒューマン・インタフェース,適応システム,人間−機械系設計,共創,身体性,情報場,コミュニケーション,コラボレーション,知覚と行動の創発 など)
4. 適用事例(生物型人工システム,ソーシャルロボット,認知ロボティクス,群ロボット,自律分散システム,知的生産システム,社会経済システム,仮想市場,道路交通システム など)


【5】 ネットワーク環境の下での制御:理論から応用まで
オーガナイザ:鷹羽浄嗣(京都大学),サイ貴生(大阪府立大学)
近年の通信技術の著しい発達に伴い,制御工学の新しい対象として,通信ネットワークを介した制御系に関する研究が注目を集めています.このような制御系では,通信路の特性や情報伝達経路のネットワーク構造が制御性能に大きな影響を与えるため,これらを陽に考慮した解析・設計の新しい数理的手法が必要となります.また,センサ・アクチュエータ・ネットワークのような新しい通信デバイスを含んだ制御技術も望まれています.このような背景の下,本テーマセッションでは,通信ネットワーク環境下における制御理論とその応用に関する研究発表を広く募集いたします.
主なキーワードは下記の通りです.勿論,これらのキーワードにあてはまらない新規の研究発表も大歓迎です.
ネットワークを介した制御,情報理論と制御理論の融合,通信容量制約の下での制御,パケットロスや通信遅延を伴う遠隔制御系,量子化制御,通信ネットワークの輻輳制御,フォーメーション制御,合意形成問題,協調制御,分散制御,センサ・アクチュエータ・ネットワーク,マルチエージェント・システム,複雑ネットワーク


【6】 意思決定と最適化
オーガナイザ:佐伯 修 (大阪大学),山下 信雄(京都大学)
21世紀に入り,システム最適化や意思決定法は,生産・流通システム,通信工学,制御工学,金融工学などの分野だけでなく,政治学,環境学,分子生物学などの領域でも利用されてきています.これは,この20年間における内点法やメタヒューリスティクスに代表される解法の開発と,計算機パワーの増大により,20世紀には不可能と考えられていた大規模かつ複雑な問題が解けるようになっていたからだといえます.また,それらの発展と共に,現実社会に現れる応用問題のモデル化技術も向上してきました.その結果,さまざまな諸問題の解決手法として,システム最適化や意思決定法のニーズは,さらに増していくものと考えられます.
本テーマセッションでは,システム最適化と意思決定に関する理論,手法,応用およびそれらに関連するさまざまな研究を募集し,この分野の近年の動向を把握できる場を提供したいと考えています.
1.数理計画の理論と応用(連続・離散組合せ最適化,メタヒューリスティック,ファジィ理論など)
2.意思決定の理論と応用(効用理論,AHP,ANPなど)
3.ゲーム理論とその応用(非協力ゲーム,協力ゲーム,進化ゲームなど)
4.実社会での応用(ファイナンス,リスクマネジメント,サプライチェーン・マネジメントなど)